

提灯に文字を描く時は、当たり鉢で擦った墨汁を用い、筆で一気に書く場合もあれば、籠文字と言って木炭等で文字の当たりを取り、面相筆で素描(輪郭を取る)を塗り筆で中を塗りつぶして文字を仕上げたり、型紙を使って描く場合もあります。
提灯の文字は楷書・行書・隷書・篆書・登録商標・ロゴマークなど、指定文字や見本があればその様に書きます。指定がない場合は、楷書の筆文字を太くした文字(江戸文字)を描きます。
江戸文字は楷書を基本としているので読みやすく、太く描くので遠くからも良く解ります。はねやはらい等にメリハリを利かせ力強く見える工夫もなされています。 |
 |
鉛筆・木炭で下描き |
面相筆で素描き |

家紋帳に載っている家紋
(画像クリックで拡大) |
|
実際に提灯に描く家紋
(画像クリックで拡大) |

|
→ |
|

|
→ |
|
 |
→ |
|
家紋帳に載っている家紋
(画像クリックで拡大) |
|
実際に提灯に描く家紋
(画像クリックで拡大) |
※ 家紋についての詳しい考察はこちらをご覧下さい。
提灯に描く家紋は、最初に家紋の大きさを決める外丸を回し、中心にある丸(辻の丸)を描きます。
次に面相筆や分廻し(手作りのコンパス)を使ってこの丸を基準にして線を描き、
外丸の円周を等分に割ったり、左右対称に分割し、面相筆を使いフリーハンドで素描をし、
塗り筆で中を塗りこみ完成させます。
 |

素描文字や家紋を塗る方法は、
端から順番に塗り込んで仕上げる方法と、
塗り勝手の良い所から塗り、
提灯を逆さにして残りの部分を仕上げる方法
があります。
また提灯は、竹骨の所に
墨などが溜まりやすいので、
流れない様に注意しながら
仕上げることが必要です。
 |

※墨汁について
黒の塗料は墨を擦って作ります。
折れ墨(製造工程で傷が付いたくず墨)を当たり鉢(すり鉢)に入れ、大きなしゃもじでかき回しながら、
水を少しずつ入れゆっくり時間を掛けて、その日一日に使用する墨汁を作ります。
※防水処理
提灯の防水処理は、火袋(提灯の紙の部分)にエゴマ油をボロ布や刷毛等で塗り、
天日に2〜3日干して乾かし使用します。
エゴマ油は乾性油の特性を利用して、塗料として合羽、雨傘、提灯、油紙等の製造に用いられています。
また『和漢三才図絵』正徳年間(1711〜1716)に「子を用いて良く油を搾り燈用となす。
また傘、堤燈、雨衣等に引きてくろまず、而してよく雨を防ぐ」と記されています。
これは書道の先生の言葉です。
書道の時間に「あー、ここの止めがもう少し太ければなぁ。」「ここのハネが足りなかった。」と言って
字を太くしてみたり、ハネを付けてみたりした経験はありませんか?
書道は一度文字を書いたら、上からもう一度字をなぞることはできません。
それとは反対に提灯屋は、面相筆で文字の輪郭を取り、塗り筆で中を塗りこんでいきます。
一つの文字を描くのに、何度も何度も筆を往復させていくのです。
そこでこの言葉、『ちょうちん屋をするな』とは、書道の時間に、
ちょうちん屋のように一つの文字に何度も筆を走らせるなという意味なのです。